「デザインを外注したいが、何をどう伝えればいいかわからない」「依頼のたびに認識のズレが起きて修正が増えてしまう」という方は多いのではないでしょうか。こうした問題の多くは、依頼時に伝えるべき情報が整理されていないことが原因です。
依頼書・発注書とは、デザイン制作を外注する際に、制作物の要件や条件をまとめて伝えるための文書です。フォーマットにこだわる必要はありませんが、記載すべき項目を押さえておくだけで、デザイナーとの認識のズレが大幅に減り、修正回数を抑えてスムーズに制作を進められます。
この記事では、デザイン外注の依頼書に記載すべき項目と、各項目の書き方のポイントを解説します。
依頼書・発注書を用意するメリット
依頼書を事前に用意することには、以下のメリットがあります。
認識のズレを防げる 「口頭やチャットで伝えたつもりだったが、デザイナーの解釈が違った」というトラブルの多くは、依頼情報が文書化されていないことで発生します。依頼書として文書化することで、双方が同じ情報を確認した状態で制作をスタートできます。
修正回数を減らせる 伝えるべき情報が最初から揃っていると、デザイナーが方向性を迷うことなく制作を進められるため、大幅な修正が発生しにくくなります。修正回数が減ることは、納期短縮とコスト削減にも直結します。
依頼先の比較がしやすくなる 複数の依頼先に見積もりを依頼する際、同じ依頼書を共有することで、条件を揃えた上での比較ができます。依頼先ごとに説明を繰り返す手間も省けます。
依頼書に記載すべき基本項目
制作物の概要
何を作りたいのかを明確に記載します。
記載例:
制作物:バナー広告(静止画)
用途:自社ECサイトのトップページに掲載するメインバナー
点数:3パターン(夏セール・新商品・定番商品 各1点)
制作物の種類・用途・必要点数をセットで書くことで、デザイナーが全体像を把握しやすくなります。
目的・ターゲット
このデザインで何を達成したいか、誰に向けたものかを明確にします。
記載例:
目的:夏のセール期間中のサイト訪問者にキャンペーンを認知させ、商品ページへの誘導を促す
ターゲット:30〜50代の女性、ファッションに関心がある層
目的とターゲットが明確であるほど、デザイナーは「何を優先してデザインすべきか」の判断がしやすくなります。
仕様・サイズ・納品形式
制作物のサイズ・ファイル形式・解像度などを具体的に記載します。
記載例:
サイズ:1920×600px(PC)、750×400px(SP)
ファイル形式:JPEGおよびPNG(透過あり)
解像度:72dpi(Web用)
納品形式:作業データ(ai or psd)+書き出しデータ(jpg/png)
特に印刷物の場合は、カラーモード(CMYK)・塗り足し・解像度(350dpi以上)の指定が必要です。
デザインの方向性
色・雰囲気・イメージなど、デザインのトーンを伝えます。言葉だけでなく参考画像とセットで共有するのが最も効果的です。
記載例:
イメージ:清潔感があり明るいトーン。白・水色・淡いグリーンを基調としたい
参考:(参考画像を3〜5点添付)
NGカラー:赤・黒は使用しない
使用フォント:指定なし(読みやすさ重視でお任せ)
素材・支給データ
こちらから提供できる素材を明記します。
記載例:
支給データ:
・会社ロゴ(aiデータ)
・商品写真(JPEGデータ×5点)
・掲載テキスト(別添Wordファイル参照)
フリー素材:商用利用可能な素材を使用すること
「何を提供できて、何はデザイナー側で用意してほしいか」を明確にすることで、費用の算出もスムーズになります。
納期・スケジュール
具体的な日付で記載します。
記載例:
初稿提出希望日:○月○日(○)
最終納品希望日:○月○日(○)
公開予定日:○月○日(○)
「なるべく早く」という記載は避け、必ず具体的な日付を記載しましょう。公開予定日が決まっている場合は、逆算して依頼スケジュールを組むことが重要です。
予算
予算の上限を明示することで、依頼先も現実的な提案がしやすくなります。
記載例:
予算上限:50,000円(税込)
※予算内で対応可能な範囲をご提案いただけると幸いです
予算を明示することに抵抗がある場合もありますが、上限を伝えることで「予算オーバーの見積もりが届く」というトラブルを防げます。
修正条件
修正回数や修正の範囲について、認識を合わせておきます。
記載例:
修正回数:初稿後2回まで(大幅なコンセプト変更は別途相談)
修正方法:メール or チャットツール(Slack等)
「修正1回」の定義(何箇所まで変更可能か、方向性の変更は含むかなど)を事前に確認しておくと、後からのトラブルを防げます。
制作物別の追加記載ポイント
基本項目に加えて、制作物の種類によって追加で記載しておくと良い項目があります。
バナー・Web広告
- 掲載媒体(Google広告・Instagram広告など)
- クリック先URL
- キャッチコピー・メインテキスト(確定している場合)
- アニメーションの有無
チラシ・ポスター・名刺(印刷物)
- 印刷会社名・入稿規定(URLまたはPDF)
- 用紙の種類・加工の有無(ラミネート・箔押しなど)
- 印刷枚数
- 配布方法・掲示場所
SNS画像・サムネイル
- 投稿するSNSプラットフォーム(Instagram・X・YouTubeなど)
- 投稿ペース・必要枚数(月何枚程度)
- チャンネル・アカウントのブランドガイドライン(あれば)
- 動画との整合性(サムネイルの場合、動画概要も共有)
LP・Webページ
- ページの目的(購入・問い合わせ・資料請求など)
- セクション構成(あれば)
- コーディングの有無
- 既存サイトのデザインガイドライン(あれば)
プレゼン資料・提案書
- スライド枚数の目安
- 構成案の有無(あれば添付)
- 使用するツール(PowerPoint・Keynote・Googleスライドなど)
- 社内テンプレートの有無
依頼書を書く際によくある書き漏れと回避策
依頼書を用意したつもりでも、以下の項目が抜けていることが多いです。依頼前に確認しましょう。
書き漏れやすい項目チェックリスト
- 制作物のサイズ・解像度・ファイル形式を具体的に記載しているか
- 納品希望日が「なるべく早く」ではなく具体的な日付になっているか
- 使用するロゴ・写真・テキストなどの素材を準備・添付しているか
- 参考デザインを3点以上添付しているか
- NGカラー・NGデザインの方向性を記載しているか
- 修正回数・修正範囲の条件を記載しているか
- 印刷物の場合、入稿規定を添付しているか
- 商用利用可能な素材のみ使用することを明記しているか
- 予算の上限を記載しているか
まとめ
デザイン外注の依頼書は、特別なフォーマットは必要ありません。以下の基本項目を押さえた上で、制作物に応じた追加項目を加えるだけで、デザイナーとのコミュニケーションは大幅にスムーズになります。
- 制作物の概要: 何を・何点・何のために作るか
- 目的・ターゲット: 誰に・何を伝えるためのデザインか
- 仕様・サイズ・納品形式: 具体的な数値で記載する
- デザインの方向性: 言葉+参考画像でセットで伝える
- 素材・支給データ: 何を提供できるかを明確にする
- 納期: 具体的な日付で記載する
- 予算: 上限を明示することでトラブルを防ぐ
- 修正条件: 回数・範囲を事前に確認する
依頼書を一度テンプレート化しておくと、次回以降の外注がさらにスムーズになります。制作物ごとに追加項目を加えながら、自社に合った形に育てていきましょう。