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入稿データの基礎知識|印刷・Web別に押さえるべき設定と注意点

入稿データの基礎知識|印刷・Web別に押さえるべき設定と注意点

デザインを外注したり、自社でデザインを制作したりする際に、避けて通れないのが「入稿データ」の問題です。せっかく良いデザインが仕上がっても、入稿データの設定が間違っていると、印刷物の色がモニターと大きく異なったり、広告媒体への入稿が審査を通らなかったりといったトラブルが起きます。

この記事では、印刷用とWeb・広告用それぞれの入稿データに必要な基本設定と、入稿前に確認すべきポイントをまとめて解説します。デザインを依頼する側・制作する側どちらにとっても知っておくべき基礎知識です。

入稿データとは

入稿データとは、印刷会社や広告媒体に対して「実際に出力・掲載するために渡すデザインの完成データ」のことです。デザインの見た目だけでなく、解像度・カラーモード・ファイル形式といった技術的な設定が正しく整っていることが求められます。

入稿データが必要になる場面

入稿データが必要になる主な場面は以下の通りです。

  • チラシ・ポスター・名刺などの印刷物を印刷会社に発注するとき
  • Web広告(Google・Yahoo!・Instagram・LINEなど)にバナーを入稿するとき
  • 雑誌・フリーペーパーなどの紙媒体に広告を掲載するとき
  • ECサイトや自社メディアに画像を掲載するとき

それぞれの場面で求められる設定が異なるため、「どこに使うデータか」を最初に明確にしておくことが重要です。

入稿ミスが起きやすい理由

入稿ミスが起きやすい最大の原因は、モニターと印刷物の表現方法が根本的に異なることへの理解不足です。モニターは光で色を表現し(RGB)、印刷はインクで色を表現します(CMYK)。この違いを意識せずにデータを作ると、モニターで見た色と印刷された色が大きく異なるという事態が起きます。

また解像度の概念もWeb制作と印刷では異なります。Webで問題なく見えていた画像が、印刷するとぼやけてしまうというケースは現場でよく起きるミスのひとつです。

印刷用入稿データの基本設定

解像度は300dpi以上を基本とする

印刷用データの解像度は、300dpi(dots per inch)以上が基本です。dpiとは1インチあたりのドット数を表す単位で、数値が高いほど細かく鮮明に印刷されます。

Webで使用する画像は72dpiが一般的ですが、そのまま印刷に使用するとぼやけた仕上がりになります。印刷用途で画像を用意する場合は、最初から300dpi以上の高解像度データを用意することが必要です。後から解像度を上げても画質は改善されないため、素材の段階から解像度を確認しておきましょう。

カラーモードはCMYKで作成する

印刷はシアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)・ブラック(K)の4色のインクを重ねて色を表現します。そのため印刷用データのカラーモードはCMYKで作成する必要があります。

RGBのまま入稿すると、印刷会社側でCMYKに変換されますが、その際に色味が意図しない形で変わることがあります。特に鮮やかな青や緑はCMYKで再現しにくい色域のため、モニターで見た色と印刷後の色に差が出やすいです。デザインの段階からCMYKモードで作業することをおすすめします。

塗り足し(ブリード)を設定する

印刷物を断裁する際、わずかなズレが生じることがあります。このズレによって仕上がりの端に白い余白が出てしまわないよう、デザインの端から**3mm程度の塗り足し(ブリード)**を設定するのが一般的です。

背景色や背景画像がある場合は、仕上がりサイズより3mm外側まで伸ばしてデータを作成します。塗り足しのないデータで入稿すると、印刷所から差し戻しになるケースがあります。

フォントはアウトライン化する

テキストをそのままデータに含めると、入稿先の環境に同じフォントがインストールされていない場合に、フォントが置き換わって見た目が変わってしまうリスクがあります。これを防ぐために、入稿前にテキストをアウトライン化(図形データに変換)しておくことが必要です。

アウトライン化するとテキストの編集ができなくなるため、アウトライン前のデータを必ずバックアップとして保存しておきましょう。

推奨ファイル形式(PDF・AI・EPSなど)

印刷用データの主なファイル形式は以下の通りです。

形式特徴
PDF最も汎用性が高く、多くの印刷所で対応。フォント埋め込みが可能
AIAdobe Illustratorのネイティブ形式。編集可能な状態で保存
EPS古くからある形式。印刷所によっては対応していない場合も
PSDAdobe Photoshopの形式。写真メインのデータに使用

印刷所によって推奨形式が異なるため、入稿前に確認することをおすすめします。PDFはフォント埋め込みができ、アウトライン化が不要なケースもあるため、汎用性の高さから現在最も広く使われている形式です。

Web・広告用入稿データの基本設定

解像度は72dpi/画面表示はピクセルで考える

Web用データの解像度は72dpiが基本です。ただしWebの場合、実際の表示サイズはピクセル(px)で管理されるため、解像度よりもピクセル数を正しく設定することの方が重要です。

近年はRetinaディスプレイなどの高解像度モニターの普及により、標準の2倍のピクセル数(@2x)で画像を用意することが推奨される場面も増えています。特にWebサイトやアプリで使用する場合は、表示環境に合わせた対応が必要です。

カラーモードはRGBで作成する

Web・広告用データのカラーモードはRGBです。モニターはRGBで色を表現するため、Web用データはRGBで作成することで、意図した色をそのまま表示できます。

印刷用データと混同してCMYKのままWeb用データを書き出すと、色がくすんで表示されることがあります。用途に応じてカラーモードを切り替える習慣をつけましょう。

ファイル形式と容量制限に注意する

Web・広告用データの主なファイル形式は以下の通りです。

形式特徴主な用途
JPEG圧縮率が高く容量を小さくできる。写真向きバナー・Web画像全般
PNG透過(背景なし)が使える。文字や図形向きバナー・アイコン・ロゴ
GIFアニメーションが使える。色数は256色までアニメーションバナー
WebPJPEGより高圧縮・高品質。Web最適化形式Webサイト全般
SVGベクター形式。拡大縮小しても劣化しないアイコン・ロゴ

広告入稿では媒体ごとにファイル容量の上限が設定されています。たとえばGoogle広告では150KB以下が基本です。容量が超過すると入稿できないため、書き出し時に最適化が必要です。

バナー広告の入稿規定は媒体ごとに確認する

Google・Yahoo!・Instagram・X・LINEなど、各広告媒体にはそれぞれ独自の入稿規定があります。サイズ・ファイル形式・容量・テキスト量の制限など、細かいルールが媒体ごとに異なります。

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印刷用とWeb用の設定の違い一覧

設定項目印刷用Web・広告用
解像度300dpi以上72dpi(ピクセル数で管理)
カラーモードCMYKRGB
塗り足し3mm必要不要
フォント処理アウトライン化推奨不要(画像書き出しのため)
ファイル形式PDF・AI・EPS・PSDJPEG・PNG・GIF・WebP
容量制限基本なし媒体ごとに上限あり

入稿前に必ず確認したいチェックポイント

テキストの誤字・脱字

印刷物は一度刷ってしまうとやり直しがきかず、修正には追加費用が発生します。Web広告も入稿後の修正は審査のやり直しが必要になるため、テキストの誤字・脱字は入稿前に必ず複数人でチェックしましょう。数字(電話番号・価格・日付)は特にミスが起きやすい箇所です。

画像の解像度・埋め込みの確認

配置した画像の解像度が基準を満たしているか、またリンク切れ(画像ファイルが正しく埋め込まれているか)を確認します。特にIllustratorでデータを作成している場合、画像がリンク配置になっていると、入稿先の環境で画像が表示されないトラブルが起きることがあります。入稿前に画像を「埋め込み」に変換しておくか、画像ファイルをデータと一緒に渡すようにしましょう。

トンボ・塗り足しの確認(印刷の場合)

トンボ(断裁位置を示すマーク)が正しく設定されているか、塗り足しが3mm確保されているかを確認します。印刷所のテンプレートを使用している場合はそのまま使えますが、自由なサイズで制作する場合は自分でトンボと塗り足しを設定する必要があります。

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ファイルサイズと形式の確認

書き出したデータのファイル形式と容量が、入稿先の規定に合っているかを確認します。広告媒体の場合は容量制限が厳しいため、書き出し設定を調整して規定内に収める必要があります。また印刷所によってはPDFのバージョン指定がある場合もあるため、事前に確認しておきましょう。

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まとめ

入稿データの設定は、印刷用とWeb・広告用で大きく異なります。この記事のポイントを整理すると以下の通りです。

  • 印刷用は300dpi以上・CMYK・塗り足し3mm・フォントのアウトライン化が基本
  • Web・広告用は72dpi・RGB・媒体ごとのファイル形式と容量制限を確認
  • 入稿前のチェックはテキスト・画像の解像度・トンボ・ファイル形式の4点を必ず確認

印刷所や広告媒体によって細かい規定が異なるため、この記事の内容はあくまで基本として押さえた上で、入稿先の最新の規定を必ず確認するようにしてください。デザインを外注する場合も、依頼先にどの用途向けのデータが必要かを最初に明確に伝えることで、スムーズな制作につながります。

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