バナーやSNS画像、チラシなどのデザインにおいて、配色と同じくらい印象を左右するのがフォント(書体)です。同じテキスト・同じ配色でも、フォントが変わるだけで「カジュアル」な印象が「フォーマル」になったり、「親しみやすさ」が「高級感」に変わったりします。
この記事では、デザインにおけるフォント選びの基本と、書体ごとに与える印象の違い、商用利用が可能な無料フォントサイトを紹介します。配色との組み合わせ方や、デザインを外注する際にフォントイメージを伝えるコツもまとめています。
フォントの基本|分類と印象の違い
フォント選びを考える前に、まず書体の基本的な分類と、それぞれが与える印象を見本とともに確認しておきましょう。
和文フォントと欧文フォント
日本語のデザインで使うフォントは、大きく「和文フォント(ひらがな・カタカナ・漢字に対応)」と「欧文フォント(アルファベット・数字のみに対応)」に分けられます。
日本語のテキストには和文フォントが必要ですが、英語のロゴやキャッチコピー、数字部分には欧文フォントを使い分けることで、デザイン全体の印象を引き締めることができます。和文フォントと欧文フォントを組み合わせる「混植」は、プロのデザインでよく使われるテクニックのひとつです。
ゴシック体・明朝体・丸ゴシック体の違い
和文フォントは、主に「ゴシック体」「明朝体」「丸ゴシック体」の3種類に分けられます。それぞれの特徴と、デザインに与える印象を見本で確認してみましょう。
ゴシック体
デザインの基本を学ぶ
ゴシック体は線の太さが均一で視認性が高く、画面表示に適した書体です。
使用フォント:Noto Sans JP
ゴシック体は、線の太さが均一でシンプルな書体です。 視認性が高く、バナー・SNS画像・Webサイトなど、画面で素早く情報を伝える必要があるデザインに向いています。太いウェイトのゴシック体は、キャッチコピーや見出しなど「目を引きたい」要素にも適しています。
明朝体
デザインの基本を学ぶ
明朝体は縦線が太く横線が細い、格式や伝統を感じさせる書体です。
使用フォント:Noto Serif JP
明朝体は、縦線が太く横線が細い、筆で書いたような装飾(うろこ)がある書体です。 格式や伝統、知性を感じさせたい場合に向いています。和食店・着物・冠婚葬祭関連など、和の要素を強く出したいデザインや、書籍・雑誌のような読み物コンテンツとの相性も良い書体です。
丸ゴシック体
デザインの基本を学ぶ
丸ゴシック体はゴシック体の角を丸くした、柔らかく親しみやすい書体です。
使用フォント:M PLUS Rounded 1c
丸ゴシック体は、ゴシック体の角を丸くした書体です。 柔らかく親しみやすい印象を与えます。子ども向けサービス、医療・福祉関連、親しみやすさを重視したいブランドに向いており、警戒感を与えたくない場面でも有効です。
欧文のセリフ体・サンセリフ体の違い
欧文フォントは「セリフ体(serif)」と「サンセリフ体(sans-serif)」に分けられます。
セリフ体
Elegant Design
セリフ体は文字の先端に装飾があり、上質で伝統的な印象を与えます。
使用フォント:Playfair Display
セリフ体は、文字の先端に「ひげ」のような装飾があるフォントです。明朝体に近い、伝統的で上質な印象を与えます。ファッション・コスメ・高級ブランドなど上質さを演出したいデザインに向いています。
サンセリフ体
Modern Design
サンセリフ体は装飾のないシンプルな書体で、モダンな印象を与えます。
使用フォント:Montserrat
サンセリフ体は、装飾のないシンプルなフォントです。ゴシック体に近い、モダンで読みやすい印象を与えます。IT・スタートアップ・スポーツなどモダンでスピード感のあるデザインに向いています。
和文フォントと組み合わせる際は、和文の雰囲気と欧文フォントの印象が合っているかを確認することが重要です。
フォント選びの基本ルール
使用するフォントは2〜3種類に絞る
配色と同様、フォントも種類を増やしすぎるとデザインに統一感がなくなります。基本的には「見出し用」「本文用」の2種類、必要に応じて欧文用を加えた2〜3種類程度に絞ることをおすすめします。
見出しと本文でウェイト(太さ)を分ける
同じフォントファミリーの中でも、太字(Bold)・通常(Regular)・細字(Light)といったウェイトの違いがあります。見出しには太いウェイト、本文には読みやすい通常のウェイトを使うことで、情報の優先度が伝わりやすくなり、デザイン全体のメリハリも生まれます。
配色との組み合わせを意識する
フォントと配色は、デザインの印象を作る両輪です。たとえば高級感を演出する配色(黒・ゴールドなど)に丸ゴシック体を組み合わせると、印象がちぐはぐになってしまいます。配色のトーンとフォントの書体イメージを揃えることで、デザイン全体の説得力が増します。
商用利用可能な無料フォントサイト
フォントを選ぶ際は、商用利用が可能かどうかのライセンス確認が必須です。ここでは商用利用可能な無料フォントを入手できるサイトを紹介します。
Google Fonts
Google Fonts Googleが提供する無料Webフォントサービスです。日本語フォントも数十種類が用意されており、ほとんどがSIL Open Font Licenseのもとで商用利用が可能です。ゴシック体・明朝体・丸ゴシック体など幅広いジャンルが揃っており、Webサイトへの導入も容易です。
ライセンスの心配が少なく、初めてフリーフォントを使う場合にもおすすめできるサービスです。
商用利用OKのフリーフォント配布サイト
Google Fonts以外にも、日本語フォントを配布しているサイトは複数存在します。デザインのテイストに合わせて、ゴシック体・明朝体・丸ゴシック体・手書き風フォントなど、目的に応じたフォントを探すことができます。
いずれのサイトでも、フォントごとにライセンス条件が異なる場合があるため、ダウンロード前に必ず利用規約を確認することが重要です。
デザイン外注時にフォントイメージを伝えるコツ
デザインを外注する際、「読みやすいフォントで」「おしゃれな感じで」といった曖昧な伝え方では、デザイナーとのイメージのズレが生じやすくなります。フォントイメージを正確に伝えるには、以下の方法が有効です。
フォント名で指定する すでに使いたいフォントが決まっている場合は、具体的なフォント名を伝えましょう。Webサイトや既存の販促物で使用しているフォントがある場合は、それを共有することで一貫性を保てます。
参考デザインを共有する 「この書体の雰囲気が好み」という参考画像を共有することで、言葉では伝わりにくい書体のニュアンスを共有できます。配色のイメージを伝える際と同様、参考デザインの共有は効果的な方法です。
用途と優先順位を伝える 「見出しは目立たせたい」「本文は読みやすさを重視したい」など、フォントを使う箇所ごとの優先順位を伝えることで、デザイナーが適切な書体を選びやすくなります。
フォント選びでよくある失敗と回避策
フォントの種類を使いすぎてしまう
「いろいろなフォントを使うと華やかに見える」と考えてしまいがちですが、フォントの種類が増えるほど統一感が失われ、まとまりのない印象になります。配色と同様、フォントも2〜3種類に絞ることが基本です。
ライセンス・商用利用の範囲を確認していなかった
無料で配布されているフォントでも、商用利用の可否や、ロゴへの使用の可否など、ライセンスの範囲が細かく設定されている場合があります。特に企業のロゴや販促物に使用する場合は、ライセンス内容を必ず確認しましょう。
媒体ごとの可読性を考慮していなかった
デザイン上は美しく見えても、実際にバナーやチラシとして表示・印刷された際に文字が読みにくくなってしまうケースがあります。特に細い書体や装飾的な書体は、小さいサイズで使用すると視認性が大きく下がるため、用途に応じた書体選びが重要です。
まとめ
フォントは配色と並んでデザインの印象を大きく左右する要素であり、書体の特徴を理解した上で選ぶことで、伝えたいメッセージがより伝わりやすくなります。
- 書体の分類: ゴシック体・明朝体・丸ゴシック体、セリフ体・サンセリフ体の特徴を理解する
- フォント選びの基本: 使用するフォントは2〜3種類に絞り、ウェイトでメリハリをつける
- 配色との組み合わせ: フォントと配色のトーンを揃えることで説得力が増す
- 外注時の伝え方: フォント名や参考デザイン、用途の優先順位を共有する
フォント選びに迷ったときは、紹介した無料フォントサイトを活用しながら、まずは見出し用・本文用の2種類を決めることから始めてみてください。デザインを外注する際も、フォントの基本を押さえておくことで、デザイナーとのコミュニケーションがよりスムーズになります。